あらゆる自然物に神が宿ると考えていた日本では
それぞれの家屋敷にも神々が宿っているものと考えてきた
そして、便所を支配する神として恐れられたのが
「便所神」である
もともと、便所は川の上につくられ、排泄物は直接
川に流されていた
かつて便所が「厠」呼ばれていたのもそのためで
便所神は古くは「厠神」と呼ばれてきた
昔の便所は、母屋から離れた場所にあったこともあって
日本人は便所という密室に、日常とは切り離されたものを感じてきた
とくに夜、便所に行くと、明かりに乏しい場所で、
闇に向かって排泄することになり
まして糞尿の流れていく先は、行方もしれぬ黒々とした闇の彼方である
そのあたりの恐れから、便所は「異界」に通じる
出入り口としてとらえられ、「厠神」俗にいう
「便所神」が支配する場と信じられてきたのだ
全国的にみられる便所に関する迷信の多様さは
その便所神が民家に宿る屋敷神の中でも
いかに恐れられていたかの証拠といえる
「便所でつばをはけば、バチが当たる」
「便所の掃除をしないと、下の病気にかかる」
「便所で転ぶと、身内に不幸がある」
など、便所にまつわる迷信はじつに多く、
大半は便所=便所神を粗末に扱うと、便所神の制裁あるいは
報復を受けるという意味の迷信である
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