木と紙でできた家に住んできた日本人
それだけに昔は、火事に対するおそれ、警戒心は
今とはくらべものにならないほど強かった
事実、昔は、いったん火が出ると、もうお手上げに近い状態だった
いろは四十七組が組織されていた江戸でも
明暦の大火(1657年)では十万人の人が焼け死んでいる
消火とは言っても、火のすすみそうな方角にある建物をこわし
延焼を防ぐという原始的な破壊消防に頼るしかなかった
「地震、雷、火事、おやじ」と言う言葉も
地震も雷も火事をともなうから
頑固親父以上に恐ろしいのである
昔のひとは、一度火事に見舞われると、家屋を失い
家族を失うことになったわけで、
それだけに火事にまつわる迷信はじつに数多い
まず、火事を予測しようという迷信がある
「月が赤いと、火事がある」
「金星が出ると、火事がある」
「カラスの水遊びは火事がある」
などは、不思議な出来事を火事と結びつけた迷信
火事を恐れた庶民感情が素朴に表れたものといえる
「夜、仏前に花を供えると火事になる」
「社寺の境内の木で建築すると火事になる」
「ツバメの巣をとると、火事になる」
などは、最も恐ろしい火事を制裁にして、マナーや常識にはずれた
行動を戒めようとしたもの
たとえば夜、仏前に花を供えるのはムダなことである。
火事になるぞ、と脅かすことで
人々の行動に歯止めをかけようとしたのである
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