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    現在の葬式、お盆といった宗教行事の様式は

    日本独自の霊魂信仰と仏教思想が混合して形成されてきた

    日本の葬式は、仏教用語とその形式を使用してはいるが

    根幹の部分には日本独自の霊魂思想が残っているのである

    迷信には墓場での行動に禁忌を設けたものが数多くある

    墓場は死者の霊が眠っている場所であり、よって定期的に

    訪れて墓参りと言う慰霊をおこなうわけだが

    このとき「帰り道に墓を振り返ってはいけない」といわれた

    死者には、現世に未練を残している者がいないともかぎらない

    振り返ると、その霊魂が生者にとり憑くスキを与えることになり

    災いをもたらすともかぎらない、と考えられたのだ

    この迷信は、魂はふたたびよみがえるという日本人の霊魂観と

    死を穢れと考える仏教の考え方が結びついたところから生まれている

    本来の仏教思想では、死者の霊魂は大乗世界へ吸収されていくと

    考えるため、墓場にいつまでも霊魂が漂い、

    その霊魂が生者にとり憑くなどという考え方は出てこないはずである
     
    ほかにも、墓場を恐れる迷信は多く

    とくにお墓でころぶのは不吉なことと考えられていた

    この世に未練を残している死者の霊魂から、

    何らかの干渉を受けたために転んだと考えたわけで

    「墓参の途中でころぶと3年生きない」などといわれた

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    あらゆる自然物に神が宿ると考えていた日本では

    それぞれの家屋敷にも神々が宿っているものと考えてきた

    そして、便所を支配する神として恐れられたのが

    「便所神」である

    もともと、便所は川の上につくられ、排泄物は直接

    川に流されていた

    かつて便所が「厠」呼ばれていたのもそのためで

    便所神は古くは「厠神」と呼ばれてきた

    昔の便所は、母屋から離れた場所にあったこともあって

    日本人は便所という密室に、日常とは切り離されたものを感じてきた

    とくに夜、便所に行くと、明かりに乏しい場所で、

    闇に向かって排泄することになり

    まして糞尿の流れていく先は、行方もしれぬ黒々とした闇の彼方である

    そのあたりの恐れから、便所は「異界」に通じる

    出入り口としてとらえられ、「厠神」俗にいう

    「便所神」が支配する場と信じられてきたのだ

    全国的にみられる便所に関する迷信の多様さは

    その便所神が民家に宿る屋敷神の中でも

    いかに恐れられていたかの証拠といえる

    「便所でつばをはけば、バチが当たる」

    「便所の掃除をしないと、下の病気にかかる」

    「便所で転ぶと、身内に不幸がある」

    など、便所にまつわる迷信はじつに多く、

    大半は便所=便所神を粗末に扱うと、便所神の制裁あるいは

    報復を受けるという意味の迷信である

    木と紙でできた家に住んできた日本人

    それだけに昔は、火事に対するおそれ、警戒心は

    今とはくらべものにならないほど強かった

    事実、昔は、いったん火が出ると、もうお手上げに近い状態だった

    いろは四十七組が組織されていた江戸でも

    明暦の大火(1657年)では十万人の人が焼け死んでいる

    消火とは言っても、火のすすみそうな方角にある建物をこわし

    延焼を防ぐという原始的な破壊消防に頼るしかなかった

    「地震、雷、火事、おやじ」と言う言葉も

    地震も雷も火事をともなうから

    頑固親父以上に恐ろしいのである

    昔のひとは、一度火事に見舞われると、家屋を失い

    家族を失うことになったわけで、

    それだけに火事にまつわる迷信はじつに数多い

    まず、火事を予測しようという迷信がある

    「月が赤いと、火事がある」

    「金星が出ると、火事がある」

    「カラスの水遊びは火事がある」

    などは、不思議な出来事を火事と結びつけた迷信

    火事を恐れた庶民感情が素朴に表れたものといえる

    「夜、仏前に花を供えると火事になる」

    「社寺の境内の木で建築すると火事になる」

    「ツバメの巣をとると、火事になる」

    などは、最も恐ろしい火事を制裁にして、マナーや常識にはずれた

    行動を戒めようとしたもの

    たとえば夜、仏前に花を供えるのはムダなことである。

    火事になるぞ、と脅かすことで

    人々の行動に歯止めをかけようとしたのである

    昔は、男の子は大事な跡取りであり、

    男の子の誕生を望む気持ちは今よりもはるかに強く

    かつ切実な問題であった

    武家では男児が生まれないとお家断絶の恐れもあり

    庶民の間では働き手である男の子に恵まれないと

    飢える恐れがあった

    そこで、男女の梅わけ法にめぐって、数々の迷信が生まれた

    ただ、念のために言っておくが

    これらには科学的な裏付けどころか

    経験的な知恵さえ含まれていない

    突拍子もないものが多い

    たとえば「夫婦の年齢に1を加え、3で割り切れるお女

    割り切れぬと男が生まれる」という

    そして、その年に励めば望む性の子を授かるというわけだが

    これはお産と数字の三をひっかけているだけのことだ

    また、生まれた子が女ばかりで、次に男が欲しいときには

    女に「アグ」とか「アグリ」という名をつければよい

    というが、これは根拠さえわからない

    ほかにも、性別予想の迷信も数限りなくあり

    「妊婦の顔がきつくなったら、男の子」

    「左孕みは男子、右孕みは女子」

    「産み日の1番最初の客が男なら男の子、女なら女の子」

    「妊婦の乳首のシコリが、左にあれば男、右なら女」

    などと言い伝えられていた

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