「人に砂をかけると、身体がグニャグニャになる」という
奇妙な呪術も、かつては広く知られていた
公園や運動場の砂場で、友達に砂をかけても
相手の身体がギュニャリとしおれることは
なかったと思うが、ここでいう「砂」は
ただの砂ではなく、特別な作られかたをしたものだった
真言宗の秘法に「土砂加持」というものがある
渓流などで採取した土砂をさらによく洗い
これを本尊の前に置き、光明真言をとなえながら加持をする秘法だ
こうすると、しだいに土砂に不思議な力が蓄えられていき
その砂を病気の者に授けると、たちまち病の苦悩から救われる
また、墓の上にまけば、往生できなかった者も
往生できるようになるといわれた
ところが、時を経るにしたがって、この砂の力が過って伝えられた
まう「その砂をかけると、数日たっても硬直しない」
つまり死後硬直が起きないとなり、さらにそれが誤伝して、
生きている人間にかけると、グニャグニャの
骨なしのような状態になるといわれるようになった
この迷信の世界ならではの、すさまじい誤解
きっと真言宗の開祖空海も嘆いていることだろう
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